メタボリックシンドローム

 

   

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最終更新日 04/22/05

背景

動脈硬化性疾患の発症は肥満も含めた複数のリスクファクターが集積する場合に高率であることが知られており、海外ではシンドロームX、死の四重奏、インスリン抵抗性症候群、本邦では内臓脂肪症候群といった概念で発表されてきたが(下表)、世界的にもメタボリックシンドロームとして統一される方向にあり、本邦では2005年に日本動脈硬化学会、日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本循環器学会、日本腎臓病学会、日本血栓止血学会、日本内科学会の8学会による診断基準検討委員会にて疾病概念と診断基準が策定された。

マルチプルリスクファクター症候群
シンドロームX
死の四重奏
インスリン抵抗性症候群
内臓脂肪症候群
1988, Reaven
1989, Kaplan
1991, de Fronzo
1987, 松澤氏
インスリン抵抗性
耐糖能異常
高インスリン血症
高トリグリセリド血症
低HDL-C血症
高血圧
上半身肥満
耐糖能異常
高トリグリセリド血症
高血圧
肥満
2型糖尿病
高血圧
動脈硬化性疾患
脂質代謝異常
高インスリン血症
内臓脂肪蓄積
耐糖能異常
高脂血症
高血圧
低HDL-C血症

定義

飽食と機械文明、車社会の中で必然的に起こる内臓脂肪の蓄積と、それを基にしたインスリン抵抗性および糖代謝異常、脂質代謝異常、高血圧を複数合併するマルチプルリスクファクター症候群で、動脈硬化になりやすい病態と定義される。この場合動脈硬化の機序として、上記のリスクファクターが重なっているだけでなく、内臓脂肪蓄積から直接血管病変を発症させるメカニズムも存在している。

診断基準

内臓脂肪蓄積を必須項目にするマーカーとしてウエスト周径

男性 85 cm 以上

女性 90 cm 以上

これらの値はCTスキャンでも内臓脂肪面積100 cm2に相当する。

上記に加え以下の2項目以上のリスクを有する場合をメタボリックシンドロームと診断する。

1)リポ蛋白異常

高TG血症(≧150 mg/dL) and/or 低HDLコレステロール血症(<40 mg/dL)

2)血圧高値

収縮期血圧≧130 mmHg and/or 拡張期血圧≧85 mmHg

3)高血糖

空腹時高血糖≧110 mg/dL
※ ウエスト径は立位、軽呼気時、臍レベルで測定する。脂肪蓄積が著明で臍が下方に偏移している場合は肋骨下縁と前上腸骨棘の中点の高さで測定する。

※ メタボリックシンドロームと診断された場合、糖負荷試験が薦められるが診断には必須ではない。

※ 高TG血症、低HDL-C血症、高血圧、糖尿病に対する薬剤治療を受けている場合は、それぞれの項目に含める。

メタボリックシンドロームの疾患概念を確立する意義

マルチプルリスクファクター症候群は現時点では、最も目立った異常の改善を目的として他の併存する病態が放置されているか、またはそれぞれの病態に対して複数の薬剤を使った治療がなされている場合が多い。

今回メタボリックシンドロームという極めて動脈硬化リスクの高い疾病概念を確立することによって、そのキープレーヤーである内臓脂肪蓄積を減少させるライフスタイルの改善(特に運動の奨励)を積極的に行なう意義が明確になり、これによりその下流に存在するマルチプルリスクの改善さらには効率的な動脈硬化性疾患の予防医学が推進される。

また将来には現状のように個々の糖尿病治療薬、高脂血症治療薬、降圧剤などの治療ではなく、総合的にマルチプルリスクを軽減させ、動脈硬化を防ぐ薬剤の開発が期待される。