(目的)
ACE阻害薬は心不全治療には不可欠だが、アンジオテンシン
II 受容体遮断薬(ARB)
との併用は左室機能を改善し、神経体液性因子を改善するとの報告が散見される。ACE阻害薬にARBであるバルサルタンを併用の心不全予後の改善効果を目的に研究した。
(方法)
5,011例の患者は無作為に通常治療+プラセボまたは通常治療+バルサルタン(40mg〜160mg
bid)に割り付けられた。第1次エンドポイントは全死亡率とし、第2次エンドポイントは全イベント発生率(死亡と非致死的心停止、心不全による入院、強心剤の静脈内投与開始)とした。
対象は年齢>18歳、左室駆出率<40%、左室拡大、NYHA
class
II-IVであり、除外対象は弁膜症、心筋梗塞直後、不安定冠動脈疾患、冠動脈再灌流治療直後例、心移植待機例、肺性心とした。
(結果)
平均62歳、冠動脈疾患57%、NYHA
II 62%、NYHA III 36%、利尿剤 85%、ジゴキシン
33%、ベータ遮断薬 35%、ACE阻害薬
93%と通常の心不全治療を受けており、両群での差は見られなかった。
追跡期間中の死亡は7例。バルサルタン併用による第1次エンドポイントの全死亡率への影響はみられなかったが、第2次エンドポイントに対してはバルサルタンは有意にイベント発生を低下させた(バルサルタン群28.8%
vs プラセボ群32.1%,
p=0.009)。この効果は投与開始早期から観察され全期間を通じて認められた。
特に入院率にて改善が著明であり(バルサルタン群13.9%
va プラセボ群18.5%, p=0.00001)、NYHA
class、労作時の自覚症状、心エコー上の左室駆出率も有意に改善された。
サブグループ解析ではバルサルタン群での有用性は全ての年齢層、性別、左室駆出率に見られた。エントリー時点でACE阻害薬非併用例(7%)、ベータ遮断薬非併用例(65%)では著明な効果がみられたが、ACE阻害薬、ベータ遮断剤の3者併用ではプラセボ群が優る傾向がみられた。
バルサルタンの忍容性は良好で(バルサルタン中止9.9% vs
プラセボ7.2%)、低血圧、めまいが主な中止理由であった。またBUN、クレアチニン、血清カリウムの軽度上昇が見られた。
(結論)