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まえがき 年来の若い友、桜井正之君が私の室へやってきて、彼が代表幹事を務める札 幌心電図懇話会に何か話をするようにと言ったのは、昨年の秋、まだ大学の構 内の、樹々の青葉に明るい陽光が戯れる頃であった。 その時、私が風塵に老いてもう新しい学問の貯えはないと断ると、彼は古い 話で結構だという。昔話は老人の楽しみでもある。嬉しくなって引受けたのが 今日の講演の発端である。 本年になって、事務局の平賀香理さんから手紙が来た。平賀さんは剣道2段 の若いお嬢さんで、講演内容を小冊子に仕立てるので原稿を用意して欲しいと いうのであった。そこで急いで書き下ろしたのがこの文章である。 丁度、週1回の臨床講義が続き、惣忙の間の執筆となったので、調査の不行 届きや記述の精粗があるのはそのためである。未定稿というほかはない。平に ご容赦をお願いする次第である。 そもそも私の講演は古い出来事を1OO枚ほどのスライドに綴った紙芝居の ようなものである。しかし、それでは学術講演の体をなさぬので、このパンフ レットでは歴史的記述を正確にし、参考文献もつけ、幾らか学問的体裁を整え るよう努力した。本日の講演の内容は、むしろこの小冊子の挿画のようなもの とご理解頂ければ幸いである。 私としては、かなりの努力を傾注した仕事だが、皆様の日常診療に全くお役 に立たないのが残念である。 平成4年2月 田辺福徳
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