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不整脈
心臓はふつう1日に約10万回前後、収縮と拡張を交互に繰り返し拍動していますが、このリズムは、右の図にある洞結節(どうけっせつ)から発生する電気刺激により作られます。洞結節が心臓の発電所(ペースメーカー)となり、電線に相当する伝導路を通り心房全体に興奮が伝わり、心房を収縮させ、心房に溜まった血液を心室に送血します。 次に房室結節(ぼうしつけっせつ)という心房と心室の電気の中継・調節をするいわば中継・変電所を経由して、心室に電気が至ります。 心室ではヒス束という1本の電線を経由し、右脚と左脚の太い電線に別れた後、引き込み線にあたるプルキンエ線維を通り、配電の最終目的である各家庭に相当する心室の心筋細胞全てが興奮し、左右の心室の収縮により全身と肺に送血します。 以上により心臓は体に必要な脈拍数を作り、補助ポンプの役割の心房と全身と肺に血液を送るポンプの心室が1心拍毎に協調して無駄なく働き全身に血液を送り出しています。
不整脈は大きく3つにわけられます。 1)期外収縮:瞬間的に脈が飛ぶ、脈が抜ける、瞬間的にドキッとするなどの症状を呈するもの 2)徐脈:脈が遅く、頭がボーっとする、目の前が暗くなる、失神するなどの症状を呈するもの。 3)頻脈:脈が速くなり、どきどきが続く、頻脈の結果血圧が低下の場合は失神する、頻脈時短時間胸が痛くなるなどの症状。 1)から3)まで心臓での起きる場所により下の表の様な病名がついています。
1)心電図、胸部写真、血液検査などの一般検査 2)ホルター心電図やモニター心電図による長時間心電図監視:不整脈のドキュメントのためには必須、治療効果の判定にも有用。またホルター心電図から計算し求める自律神経機能検査も時に有用。 3)運動負荷心電図:運動により不整脈の変化を観察したり、虚血性心疾患の診断に有用。 4)心臓超音波検査:基礎心疾患、心機能の評価に有用。 5)心臓電気生理学的検査:心臓内に必要な数の電極カテーテルを静脈や動脈経由で留置し、洞結節機能、房室結節機能など刺激伝導系の機能を検査。また発作性心室性頻拍の誘発診断やその他の頻脈の原因となる心臓内の経路の精査に有用。ただし、入院が必要。
洞結節以外の心房や心室などの場所で期待されるタイミングより早く心臓が興奮収縮する場合に期外収縮(期待される場所以外で、期待される時期より早期に電気興奮が作られる)を生じます。いわば心臓の「しゃっくり」です。心臓内の異常なペースメーカーや、電気的なブーメラン現象をおこすような心臓内の異常な電気回路の存在などが原因と考えられています。
心臓に病気を持たず、運動負荷試験にても増悪しない期外収縮は、生命への危険性はなく、寿命に影響することはありません。健康人を調べてみるとかなりの高率に期外収縮を持つ方がみられ、1日数万回期外収縮があっても無症状の方もいますし、1日数回の期外収縮だけでも「脈がとぶ」などの自覚症状を感じる方もおられます。健康な方でも「心臓が悪いのでは」との不安感を感じて受診される方が結構おられますが、ただ無害な不整脈とはいっても自覚症状があまりに強く生活に支障が出る場合には抗不安薬、安定剤や、時に軽い抗不整脈剤を使用することもあります。 しかし心筋症、弁膜症や、心不全、心筋梗塞後などでは慢性の心室性期外収縮と予後との関連が見られるとされており、特に心機能が低下している場合には心房や心室頻拍への引き金なるため抗不整脈剤を使用する場合もあります。 本来心臓の基本的発電所である洞結節では日中の安静時に1分間に50から100回の発電をおこなっていますが、さまざまな原因により発電回数が低下したり(洞徐脈)、止まったり(洞停止)、また発電回数は正常だが心房への中継がうまく行われなくなると(洞房ブロック)、脈拍数が低下する洞不全症候群になります。 ふつう洞結節以下の経路の殆どすべての場所に、バックアップ(予備)の発電能力があり、万が一洞結節が停止しても、分速は遅くはなりますが、バックアップの発電所(ペースメーカー)が作動し、心臓がとまらない安全な仕組みになっています(補充収縮)。 したがって心臓が長く停止したり、極端な徐脈が生じるのは、洞結節のみならず、心房や房室結節などの予備の発電能力にまで障害が及んでいる事が多い訳です。 また心房内の電気的異常を合併し、頻脈性不整脈の心房頻拍や心房粗細動を併発した徐脈頻脈症候群も洞機能不全症候群の一つです。 心房と心室間の電気の中継所(房室結節)は、正常でも心房側のスピードが一定以上速ければ、心室へのブロック(房室ブロック)が起こり、例えば4回に3回しか心房から心室へ伝わらなくなると、毎分160回の心房の興奮が、心室に伝わるのは毎分160 X 3/4 = 120回となり、暴走する発電所から心臓を守る変電所の役割も果たします。 しかし、房室結節やそれに続くヒス束に何らかの原因で障害が起きると、普通の心房側のスピードでもブロックが生じ、例えば2回に1回しか心房から心室へ伝わらなくなると、毎分60回の心房の興奮が、心室に伝わるのは毎分30回となり、高度の徐脈を生じます。重症になると心房の電気が全く伝わらなくなり(完全房室ブロック)、心室などのバックアップの発電所(ペースメーカー、補充調律)が上手く働かないと生命に危険を生じる事もあります。
(1)洞機能不全症候群では心電図や電気生理的検査で長い心停止が記録される場合(5秒前後以上)や、徐脈症状があり覚醒時でも平均毎分40未満の場合。 などでは普通ペースメーカー治療が第1選択になります。
一般的に言って、心房頻拍の場合は、生理的房室ブロックで心房から心室へ伝わる脈拍数は間引きされ極端に心室の脈拍数が増えることは少なく失神などに至ることはまれですが、心室頻拍では心拍数が間引きされることがありませんので、スピードが速く、血圧の低下が著しく、長時間続く場合(特に心臓機能が低下している場合)には、失神、突然死に至ることもあり得ます。失神に至らなくても長期間頻脈が続くと頻脈性の心不全を呈することもあります。さらに心室頻拍からより重症な心室細動になってしまうこともあり危険です。 毎分約120回以上のスピードで突然始まり、比較的規則的な頻脈で、多くは脈拍数が毎分150から200前後になることが多く、突然止まるのが特徴です。 逆に毎分約120回以下の規則的な頻脈の殆どは生理的(興奮、不安、運動、自律神経失調)などによることが多く危険でない頻脈(洞性頻脈)の可能性が大だということになります。 大抵の頻脈発作の場合は抗不整脈剤の内服、注射で停止します。心室頻拍で血圧の低下が著しく急を要する場合には電気ショックを要することもあります。 心室頻拍の場合には抗不整脈剤の内服のみで発作を予防しきれず、生活に支障をきたす場合には、特殊な管(カテーテル)で頻脈の原因になっている心筋の一部を高周波で焼き切る「カテーテルアブレーション」と言う治療方法も選択肢の一つです。さらに生命にかかわるような心室頻拍の場合には植え込み型除細動器(ICD)選択されることもあります。
房室結節とその近傍の右房に2重経路という異常な伝導路があったり(房室結節回帰性頻拍)、房室結節以外に心房と心室を短絡(ショート)する経路(ケント束などの副伝導路)があって電気興奮が「こだま」して戻ってくる(エコーする)場合にも(房室回帰性頻拍)、毎分約120回以上のスピードで突然始まり、比較的規則的な頻脈が生じ、多くは脈拍数が毎分150から200前後になることが多く、突然止まるのが特徴です。症状は動悸、失神など心房、心室頻拍と同様です。 大抵の頻脈発作の場合は抗不整脈剤の内服、注射で停止しますが、根治療法として特殊な管(カテーテル)で頻脈の原因になっている心筋の一部(2重経路の片方やケント束)を高周波で焼き切る「カテーテルアブレーション」と言う治療方法の適応になります。
心房粗細動とは洞結節からの正常のペースメーカーから心房の興奮が始まらず、心房の筋肉がワナワナと1分間に約300〜500回と正常の5倍以上の速さで不規則(心房細動)、ある程度規則的に(心房粗動)に細かくふるえ、心房の補助ポンプとしてのまとまった収縮や拡張がなくなる不整脈です。 その結果、心房から心室への血液が効率よく流れなくなり、心臓全体のポンプとしての効率が低下します。心房の約300〜500回の興奮は房室結節で間引かれ、そのうち何割が心室に伝わるかによって心臓全体の脈拍数は変化しますが、心房細動の場合は心室への伝わり方も不規則なので脈も不規則になりますが、心房粗動の場合には規則的になることもあります。 詳細は心房粗細動のページをご覧下さい。 不整脈のなかでも最重症で心臓のポンプ機能が直ちになくなる心停止となるため、脈拍も触れず、血圧も測定不能になり、意識を消失し、3分以上続くと脳の機能も停止します。 心室細動をきたす病因としては急性心筋梗塞や高度の狭心症などの虚血性心疾患が最も頻度が高く、その他としては心筋症、心筋炎、弁膜症などが挙げられます。また心室細動は心電図にてQT延長(QT延長症候群)やブルガダ型心電図(ブルガダ症候群)の所見がある場合にも生じる危険が高いことが分かっています。
1)基礎心疾患はなく、生命への危険性はないが生活に支障が出るほどの自覚症状の強い期外収縮、洞性頻脈が出る場合。 2)基礎心疾患があり、期外収縮、徐脈、頻脈などの不整脈で心機能の悪化、予後に悪影響が予想される場合。 3)徐脈性不整脈で徐脈症状が強かったり、心不全を伴ったり、心停止時間が長い場合。 4)頻脈性不整脈で自然停止しずらく、動悸や血圧低下などの頻脈症状などを伴う場合や、心房粗細動のように血栓性塞栓を伴う可能性がある場合。
1)薬物治療
2)非薬物治療
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札幌厚生病院循環器科のホームページ http://www.gik.gr.jp/~skj/ |
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