ブルガダ症候群

 

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最終更新日 06/13/04

 

ブルガダ症候群とは?

ブルガダ症候群とはブルガダ型心電図(右側胸部誘導心電図にて右脚ブロック様の心電図波形と特徴的なST上昇)を伴う特発性心室細動のことを言います。ブルガダ(Brugada)とは1992年にこの症候群を報告した研究者の名前です。

心室細動は心室が全く不規則な収縮状態となり、ポンプとして機能しない心停止となりますので失神を生じ、心臓急死の原因となりうる危険な不整脈です。

ブルガダ症候群ではブルガダ型心電図を示すのみで明らかな器質的心疾患を認めません。日本や東南アジアで頻度が高く、40歳前後の男性に多く発症するとされ、しばしば突然死の家族歴があります。特発性心室細動は睡眠時などの安静時に多く出現し再発率も高く、ポックリ病すなわち突然死の原因のひとつとされています。

しかしながら日本での検診を含めた大規模な調査では無症候のブルガダ型心電図(下図参照)を示す方は全人口の0.1〜0.2%、すなわち1000人に1〜2人はいるとされており相当数にのぼると推定されてはいますが、大部分の方は予後がきわめて良好なことが知られています。ブルガダ型心電図を示す方のごく一部の方での心室細動のリスクについては今のところ症状の有無、突然死の家族歴、電気生理検査を総合して日本循環器学会のガイドラインに沿って治療の必要性の有無が決定されています。

 

21歳、男性の心電図で無症状、御祖父様が30歳で急死されています。心電図ではブルガダ型心電図のすなわちV1、V2でcoved(弓を折り曲げたような)タイプ(矢印)、V3でややsaddle-back(馬の背)タイプのST上昇を認め、一見不完全右脚ブロック様ですが右脚ブロックと異なりIやaVL,V5-6のS波は深くはありません。電気生理検査で心室頻拍・細動は誘発されないため、ガイドラインでは植え込み型除細動器の適応ではないと判断され経過観察中です。

またブルガダ型心電図はしばしば間歇的に正常化しますが、ブルガダ型心電図は運動負荷、β受容体刺激などより抑制され、副交感神経緊張やある種の抗不整脈薬(Ia群、Ic群)により増強するとされ診断に利用されています。

最近ブルガダ症候群の家系の遺伝子解析によりナトリウムイオンチャンネル遺伝子(SCN5A)の欠陥が発見されて以来研究が進み、ブルガダ症候群の約20%がこの遺伝子の欠陥によるとされています。

治療としては今のところ確実な薬物治療はなく、心室細動による突然死予防のため植え込み型除細動器(ICD)の適応となります。

ブルガダ型心電図と診断されたら

ブルガダ型心電図は検診などの際に無症状で発見されることが多いのですが、ブルガダ型心電図を示す方のほとんどは心室細動による突然死の危険はありませんが次の項でお話する症状、家族歴、電気生理検査所見を考慮して治療の必要性すなわちICDの適応を決定します。

ブルガダ型心電図の植込み型除細動器(ICD)適応基準

日本循環器学会2001年12月のガイドラインから改変引用
適応の有無
症状と検査所見
適応
  • 心停止蘇生例
  • 自然停止する心室細動または多形性心室頻拍が確認されている場合
  • 原因不明の失神とブルガダ型心電図を有し、電気生理検査によって多形性心室頻拍または心室細動が誘発される場合

適応とする意見・証拠が多い

  • ブルガダ型心電図所見を示し、心室細動や失神の既往はないが突然死の家族歴を有し電気生理検査によって多形性心室頻拍または心室細動が誘発される場合

適応とする意見・証拠が少ない

  • ブルガダ型心電図所見を示し、心室細動や失神の既往はないが突然死の家族歴を有し電気生理検査によって多形性心室頻拍または心室細動が誘発されない場合
適応なし
  • ブルガダ型心電図所見を示すが、心室細動・失神の既往や突然死の家族歴を認めず、電気生理検査によって多形性心室頻拍あるいは心室細動が誘発されない場合